こんにちは、「看護文献ナビ」運営者です✨️
今回は、看護研究でとても大切な「研究倫理」について解説します。

倫理は高校の時に習ったけど、研究の倫理っていったいなんだろう。
内容によっては倫理委員会に申請しなきゃいけないって聞いたけど…
研究倫理とは?
研究倫理とは、研究対象となる人の権利や尊厳、安全を守るためのルールです。
看護研究では、対象者が患者さんや利用者さんであることが多く、倫理的な配慮が欠かせません。
よく出てくる言葉①:インフォームドコンセント
インフォームドコンセントとは、「十分な説明を受けた上で、自分の意思で参加・協力を決めること」。
研究内容・目的・期間・対象・方法・プライバシーの保護などを、きちんと伝えたうえで「同意を得る」ことが重要です。
よく出てくる言葉②:倫理審査
倫理審査(IRB:倫理審査委員会)は、研究計画が倫理的に問題ないかどうかを、第三者の視点でチェックする仕組みです。
- 臨床研究や実習で患者に関わる調査
- アンケートやインタビューで個人情報を扱う研究
→ このような場合は、所属施設や学校の倫理審査を受ける必要があります。

なるほど💡
だから、倫理審査委員会に申請を出す必要のあるテーマの人は早めに提出しなきゃいけないのか!
けど、やること増えるの少し面倒くさいな…。
なぜ看護研究では倫理が大切なの?
看護職は、人の命や生活に直接関わる専門職です。
研究であっても、対象者となる患者さんや利用者さんには、心身の不調や生活上の不安を抱えている方が多くいます。
そのため、たとえ簡単な質問や観察であっても、
- 不安を与えてしまったり
- 信頼を損なうような行動になったり
- 後から「嫌な気持ちが残る」ことになったり
…そんなリスクが常にあるという前提を持っておく必要があります。
また、看護は「信頼関係」を土台になりたる職業です。
研究を通じて、ケアの質を高めたり、現場の課題を明らかにすることはとても重要ですが、
それは「相手の立場を尊重し、誠実に向き合う」という倫理的な態度があってこそ、初めて意味を持ちます。
研究とケアは“別もの”ではありません
看護の現場では、日々のケアの中で「この対応は本当に良かったのか」「もっといい方法はないか」と考えることがたくさんあります。
つまり、
研究とケアは分断されたものではなく、日々の実践の延長線上にあるものです。
ケアの中にある“気づき”を形にするのが研究であり、その過程でも看護の視点=倫理的配慮が求められます。
学生の立場でも「倫理的責任」がある
「まだ学生だから…」と思うかもしれませんが、
研究の場面においては“研究者の一員”としての責任が生じます。
- 実習中に患者さんへアンケートをお願いする
- 自施設で働くスタッフにインタビューを取る
…こうした場面でも、相手の立場・時間・気持ちに配慮できるかが問われます。
小さな一歩でも、その先にある看護の信頼と未来をつくる研究につながっていると意識しておきましょう。

確かに看護研究は、研究に協力してくれる人がいるからこそ成り立つテーマがたくさんあるね。
協力してくれるのを当たり前だと思わずに、感謝する気持ちを忘れないようにすれば
きっと素敵な看護研究が完成するはず…!
まとめ
研究だからOK、ではなく
研究だからこそ、より丁寧に、誠実に。
看護研究は、「誰かのために、よりよいケアを考える」もの。
だからこそ、研究の進め方や伝え方には、人としての思いやりと誠実さが求められます。
倫理審査やインフォームドコンセントは、守るべき「面倒ごと」ではなく、大切な信頼の土台です☺️
人に寄り添う“ケアのこころ”を研究の中でも持ち続けることが看護研究を完成させる秘訣なのかもしれません。
🔖 参考にしたもの
- 日本看護協会 倫理綱領
- 文部科学省「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」
- 看護大学講義資料/実習中の研究手引き